町田音楽ネットワーク
今月の音楽人

27 2003年10月号)

何も存在していない所に人の心を動かす「モノ」を創り出す。
その「モノ」には誰も触る事ができないし終わればその存在は消えてしまう。
そんな「モノ」をこの地域で創り出してきた人々を紹介していきたい。


―  タナカ トシノリ さん ―


 194 All Stars今年、ポスタルコード「194」のエリアから発信する新しい形の音楽プロジェクトがスタートした。194・・・・・そう、町田市の郵便番号の最初の3桁。今月の音楽人はこの194 All Starsのリーダーであり、音楽教師、トロンボーン奏者、指揮者、作曲家、編曲家、カメラマン&ウェブデザイナー、と一言では肩書きを表現できない万能人 タナカ トシノリ さん。

 タナカさんの職業は音楽の先生だ。現在、八王子市の都立南大沢学園養護学校に勤務されている。養護学校では知的障害を持つ子供たちにいろいろなアプローチで発達を促すカリキュラムを組む。その中で、音楽はとても大事な要素だ。また、子供たち一人一人の個性や障害によって個別の対応も取らなくてはいけない。セラピーに近いとタナカさんは語る。秋、タナカさんの職場は忙しくなる。毎年11月末の土日に開かれる学園祭の目玉「音楽劇」の作編曲や指導があるのだ。

 タナカさんは町田の吹奏楽のリーダー的存在だ。まず、さかのぼれば都立町田高校時代、当時、ブラスバンド部が無かった町高になんとか部を作ろうと設立運動に奔走した。ブラスバンド愛好会をまず作り、これを正規の同好会に昇格させた。同校ブラスバンド部の生みの親の一人なのだ。

 卒業後は武蔵野音大トロンボーン科に進学、中学生の頃から参加していた町田市民吹奏楽団ではその頃から20年近く指揮者を勤めていた。パーカッショニストとしてワールドワイドな活動を繰り広げている大久保宙さん(今月の音楽人No.4)と知り合ったのもこの頃のことだ。町田高校や山崎高校でのブラスバンド部の指導経験も長い。こうして培われた幅広い人脈が194 All Starsに活かされているのだろう。

 194 All Starsは6ホーンに5リズムという変則的な編成。しかもジャンルレスを謳う。タナカさんが一緒に演奏したいと思った地元出身ミュージシャンに声をかけてメンバーを集めた。その中にはパーカショニスト大久保宙、マリンバ奏者中川佳子といった日本を代表するプロ演奏家も名を連ねる。でも、あくまでも非営利の楽団。そして演奏場所は194エリア、もちろん町田。次回のライブはまだ具体化していないが、来年春あたりを視野に入れて動き出すそうだ。日頃忙しいメンバーが11人、リハーサル場所も時間も、ライブ会場もスケジュールも、どれを取っても大変なことばかりだ。でもタナカさんに対する信頼感がメンバーを動かす。今後の活動が楽しみなユニットだ。(文:城川隆生)


タナカさん と 194 All Stars @8/2町田市民フォーラム


大久保 宙さん と タナカさん

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194 All Stars HP
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Studio104(タナカさんのHP)



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