町田音楽ネットワーク
今月の音楽人

25 2003年8月号)

何も存在していない所に人の心を動かす「モノ」を創り出す。
その「モノ」には誰も触る事ができないし終わればその存在は消えてしまう。
そんな「モノ」をこの地域で創り出してきた人々を紹介していきたい。


―  ROLLER COASTER リーダー・ドラム奏者
 山崎 よしき
 さん
 ―


 日本に「ブルース」というブラックミュージックが根付き始めたのは1970年代前半のことだ。関西では「ウェストロードブルースバンド」「上田正樹とサウストゥサウス」「優歌団」といったバンドが続々と誕生していた。もちろんそのムーブメントは関東でも同様だ。1974年、東京に出ていたハーピスト妹尾隆一郎と都内出身の山崎よしきさんは新しいタイプのブルースバンドを目指し「ローラーコースター」を結成した。それから約30年、何回かのメンバーチェンジを経ながらも「ローラーコースター」は存在している。そしてゴキゲンな東京のブルースサウンドを発信しているのだ。今月の音楽人は町田市・成瀬在住、国内最強最古のプロフェッショナルブルースバンド「ローラーコースター」のリーダー 山崎よしき さんだ。

 山崎さんはもともと世田谷のご出身、実は「国語」の教師を目指して大学に進学。しかし、友人の中島正雄(現 コロムビア社長)に誘われてブルースの世界に引きずり込まれてしまったのだ。ブルースを叩きながら、学生ミュージシャンとして太田裕美やケメ(佐藤公彦)などのバッキングの仕事もこなし、ドラムでお金を稼ぐという生活。(それにしても「木綿のハンカチーフ」を・・・・・笑ってはいけません)。「でもバイショウ(※)の仕事は思うところがあってやめた。」と山崎さん。

※ バイショウ << 売 商 << ひっくり返しのミュージシャン言葉 << 商 売=営業的仕事

 自分の好きな音を出そう。自分のために演奏しよう。と決意した山崎さんのローラーコースター人生がこうして始まったのだ。'77年 小出斉(G. 音楽評論家でもある)、'84年 小町正明(B)、'87年 早崎詩生(P)がそれぞれ加入。'95年からはギタリスト吾妻光良も準メンバーとして活動している。ウィーピングハープ妹尾隆一郎は地元で起こった阪神大震災を機に別の活動に専念することになり、'98脱退。現在の基本型はご存知のように4人編成。それに「ちびコースター」っていう小回りの効くユニットもある。山崎・小出・小町のトリオでピアノの無いお店でも演奏できるライブ向きバンド。この地域では本厚木のブッチーズというお店で演奏することがある。

 山崎さんはブルース界の大御所であることに間違いは無い。プロデューサーとしても実績がある。しかし「御大づらして祭り上げられていい気になったり、懐古趣味になっていたらモノ作る現場は終わり。」とはっきりおっしゃる。そして、ブルースの進化形を模索しているのだ。HipHopミュージックとリンクした音作り。最近、そのスタイルを模索し始めた。その姿勢には、ブルースを過去の遺物にしてはならないという強い想いとブラックミュージックに対するリスペクトを感じる。

 山崎さんは約10年前からドラムを教えている。もと教師志望だった血が騒ぐのか「教えることが好きで、生徒さんが血として持っているリズム感を楽器とテクニックを通して解明し、目からウロコが落ちるように変えていける。」とこれまたはっきり断言する。ブラック・ミュージック・ドラム教室はこちらです。>>GUMBO STUDIO

 来年はローラーコースター結成30周年。今年11月から30周年記念アルバムのレコーディングに入る予定だ。そして来年はそのアルバム発売と同時に記念ライブイベントがあるはず。もうここまで来たら何十年でも行って欲しい。(文:城川隆生)


《「ローラーコースター」「ちびコースター」最近のアルバム》
販売元:サウスサイドレコード
JAPAN IMPACT
(2002)
LIVE
at the BOTTLE NECK CAFE

(2000)
Roller Coaster≧Chibi Coaster/25th
(1999)

連絡先
ローラーコースター


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