横浜線淵野辺駅北口から徒歩4分、ここにスタジオLARKのビルがある。4階は映像スタジオ、3階はレコーディングスタジオ、2階にはリハーサルスタジオ4室。このスタジオラークの店長 兼 レコーディングエンジニアを務めているのが今月の音楽人 後藤達生さんだ。
後藤さんは日野市の出身。1970年代に通っていた日野台四中はバンド活動が音楽の先生に奨励されている雰囲気があったと不思議な懐古話をしている。引っ込み思案だった後藤少年はそんな環境でギター・ベース・ドラムス・キーボードといった楽器を手にし、人前で演奏することで積極性と自信を自分のものにしていった。
高校時代には新宿や立川のライブハウスで月に2-3本のライブをこなし、ドラマーとしての生活がスタートした。でも高校は途中で行きたくなくなって休学>>>留年。西荻窪のジャズライブハウス「アケタの店」で働き始める。その時、後藤さんは、音楽的にも技術的にも素晴らしいミュージシャンたちが全然稼げていないという現実を目の当たりにした。「プロってなんだろう?」
大学時代は音楽系サークルの連合組織の顔としてずいぶん大学当局と渡り合ったらしい。時にオーガナイザー、時にネゴシエーター、時にマネージャー。体制に積極的にコミットし、より良い音楽環境を作らなければ音楽自体が出来ない。正論だ。
ラークは特に最新機材をそろえているスタジオという訳ではない。しかし、スタジオとしての実績がなかなか渋い。今を時めくクレイジーケンバンドの皆さんがリハーサルやレコーディングに使ってきたことはわりと知られている話だ。ちょっと変わった所では02カンヌ国際映画祭で「グランプリ」「主演女優賞」をダブル受賞した「過去のない男」(アキ・カウリスマキ監督作品※)の劇中曲「Motto Wasabi」(作:小野瀬雅生)もここで録音されている。Hip Hop系のRHYMSTER(ライムスター)が使っている音源製作なんていう仕事もある。
※「レニングラード・カウボーイズ」の監督だ!クレイジーケンバンドのファンでフィンランドでも聴いているらしい。
念のために言っておくと、後藤さんは別にプロミュージシャンだけを相手に仕事をしている訳じゃない。お話を伺っていると、むしろアマチュアや、インディーズ系ミュージシャンのサウンドを一緒に作り上げていくことに喜びと幸せを感じている風な所がある。ただ、今レコーディングにやってくるバンドは都内のバンドが多く、町田・相模原地区のお客さんが少ないと言う。やる気があるバンドだったらプロデュースもディレクションも含めてアレンジの助言からミックスダウンまで付き合ってくれる後藤さんを利用しない手はない。(文:城川隆生) |