町田音楽ネットワーク
今月の音楽人
47 2005年6月号)

何も存在していない所に人の心を動かす「モノ」を創り出す。
その「モノ」には誰も触る事ができないし終わればその存在は消えてしまう。
そんな「モノ」をこの地域で創り出してきた人々を紹介していきたい。


―  「町田共立ジャンベ組合・空魂」発起人 Toshi さん 



 Djenbe(ジャンベ)。最近はポップ系・ロック系のユニットやシンガーソングライターの演奏のバックで登場することも珍しくない。もともとは現在のコートジボアール、マリ、ギニア、セネガルなどがある西アフリカの伝統楽器だ。一本の木をくり貫いた胴とヤギの皮。一つの太鼓から「ドゥーン」「トゥン」「カンッ」という3つの音が組み合わされて至福のグルーブが醸し出されていく。世界中で楽器の始原のルーツがそうだったように、アフリカでは今でも精霊と交感したり、人生の節目の儀礼などでも叩かれているという。今月の音楽人はそのジャンベ文化の華を伝統的なアフリカンスタイルで町田に咲かせるワーク&チーム「空魂」の発起人 Toshi さん。

 Toshiさんの本職は美容師さんである。Toshiさんが一時期沖縄へ移住するまで東急ハンズの近くで経営していた「Toshi's STUDIO」をご存知の方も多いと思う。そして、Toshiさんは面白文化仕掛人でもあるのだ。そもそもToshi's STUDIOは美容室でありながら店内でクラブイベントやライブイベントが行われるユニークな空間だった。Toshiさんがプロデュースしたゲリラ的野外ライブやお祭り企画も少なくない。

髪の毛、音楽、お祭り、沖縄と自由奔放につながるToshiさんのお友達にはソウル&レゲエ&何でもミュージシャン南條倖司やヘアメイクを担当したシンガーソングライターNUU、他にもたくさんの音楽人がいて、ジャンベとの出会いも奥多摩で開かれていたレゲエイベントがきっかけだった。そこで叩いていたジャンベ奏者たちにいきなり「町田で人を集めるから来てくれない?」と指導をお願いし、お店のお客さんに声をかけたりチラシを配って人を集め、空魂は始まったのだった。

 現在、ジャンベを練習したり演奏したりする集まりやワークは全国にいくつかあるらしい。特に東日本では長野と千葉あたりにジャンベ奏者が集結しているそうだ。毎回そこからアフリカ仕込のジャンベ奏者 星 高介さん と 中村日明日さん がやってくる。町田の方はもちろん皆さん初心者からはじまった。それが今やステージパフォーマンスも出来るパーカッション集団に成長しつつあるのだ。ジャンベワークは大地の響きとリズムを体で感じながら、しかもそれを共有できる。空魂はきっとその魅力に夢中になってしまったのだ。

もちろんToshiさんもその一員なのだけれど、「いやー、俺はミュージシャンというわけじゃないし、まあ発起人なんで」と遠慮がちに取材に応じながら、近い将来に始めたいというお店作りの構想も語るその目はやっぱり面白文化仕掛人のまなざしだ。

「ドゥンドゥン(大太鼓)・サンバン(中太鼓)・ケンケニ(小太鼓)も入る、西アフリカのトラディッショナル・スタイルでやっていますので、本格的なグルーヴを楽しめます。老若男女、随時参加者募集中!連絡先はホシ:090-3590-9488またはカナイ:090-8291-7867まで
次回ワーク
6月26日(日) 1〜5pm 町田南市民センター(こどもセンターばあん)
 ¥2500、レンタルジャンベ¥300 」(by 空魂)

(文:城川隆生)

2005年4月23日町田アコースティックJAMにて

 
(右)空魂ジャンベワーク風景
(左)空魂講師の星 高介さん と 中村日明日さん
お二人ともギニア共和国に数回渡ってマリンケ族のマムドゥ・ジャバテ、ナンセディ・ケイタに師事。日本ではユール・ジャバテにも。長野県松本市のバンド「ジャンベリーナ」を経て、現在は千葉を拠点に「BONNSAVA」で活躍中。
「空魂」Blogもはじまりました。=>コチラ


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