好きな言葉は「根性・気合・努力！」、「ロック界の海賊（パイレーツ）と呼んで下さい！」と茶目っ気たっぷり、おまけにテンポの良い語り。心からロックを愛し、その底辺を広げて行こうという熱意にあふれる経営者・マネージャー・プロデューサー・ミュージシャン。今月の音楽人は緞帳がわりの鋼鉄製電動シャッターで業界をあっと言わせた本厚木のライブハウスThunder Snake（サンダースネイク）の渡辺理之（まさゆき）さん。

　渡辺さんは厚木二小、厚木中学出身のまさに厚木っ子。ことの始まりは中学生の時に勉強を教えてくれた大学生からもらった「Rainbow」のテープ。キャンディーズ・山口百恵といったアイドルの世界からロックの世界への開眼。やがてギターを手にし、バンド活動が始まる。高校時代に近所の大学の学園祭でライブ演奏を経験。大学時代はライブハウスを拠点にハードロック一色の生活だったそうだ。

　大学卒業後、渡辺さんは東芝系の企業にシステムエンジニアとして就職する。社内業績1位のやり手エンジニアとして将来を嘱望されるサラリーマンとなった。しかし、やっぱり血が騒いでしまった。「音楽だ！ロックだ！」　1年10ヶ月後、退職。「ホコ天」全盛の時代だ。Gパン屋でバイトをしながらのバンド生活。多くの熱烈なファンにも支えられて全力疾走の20代だった。

　その後、ライブハウスでのバイト・店長の経験を経た後、ご自分で新会社ゴールドトップを設立、2002年12月にはこのライブハウス Thunder Snake ＆ リハーサルスタジオ Studio Snakeをオープンさせた。資金も場所もないところからオープンにこぎつける経緯はまさに根性・気合・努力の物語。

　渡辺さんにとってのライブハウスの理想像は良いミュージシャンを押し上げる場所だ。若いミュージシャンに真正面から向き合ってどこまでその意識と才能を伸ばせるか、そしてもっと広い世界やマーケットに羽ばたかせる。ファミリー的感覚と人を育てるということが大好きな渡辺さんである。「いきものがかり」「Zippa-di-Doda」といった活きの良いミュージシャンたちの活躍をうれしそうに語る姿が印象的だ。（他にも中学生向けの塾で英語教師をやろうとまで考えているのだ。もちろん時間があればの話）

　渡辺さんはお店を離れてもハードロックサミットのディレクターをはじめ各種イベントにも多くかかわっている。その人脈を活かした個性的なブッキングも最後にご紹介。（文：城川隆生）