町田音楽ネットワーク
今月の音楽人

3  2001年10月号)

何も存在していない所に人の心を動かす「モノ」を創り出す。
その「モノ」には誰も触る事ができないし終わればその存在は消えてしまう。
そんな「モノ」をこの地域で創り出してきた人々を紹介していきたい。


―   スラックキーギタリスト 松本ノボルさん ―


 今から数年前、「Missing American Music」という音楽イベントが町田某所で行われていた。ブルーグラスあり、ハワイアンあり、土臭い(海臭い?)アメリカンミュージックを前面に出して、フラダンサーも出てきたし、女子高生コスプレ衣装(?)で歌う女性シンガーもいたりして、まるでごった煮のようなアメリカ音楽のイベントだった。その仕掛け人が今月の音楽人松本さんだった。今では日本のスラックキー・ギター界のリーダー的存在でプロデューサーとしても多くのCDやイベントを手がけているが、ここに至るまでの音楽遍歴はなかなか面白い。

 生まれも育ちも住んでいるのも小田急相模原。中学生にして近所の大学生にブルーグラスを叩き込まれバンジョー弾きに。昔のブルーグラス仲間はバンジョー弾き松本さんの帰還を首を長くして待っているらしい。ギター弾きとしてははやくからアイリッシュに目覚めオープンチューニングであの哀愁のケルトメロディーを奏で始める。確かにアメリカ音楽のルーツを遡ればアイリッシュは行き着く答えの一つだ。

 ギターをオープンチューニングで弾く事の楽しさを覚えてしまった松本さん、ある日あるアルバムと出会う運命にあった。「チキンスキンミュージック」(ライ・クーダー)!最近じゃ「ブエナ ビスタ ソシアル クラブ」のライ・クーダーといった方が話が通じやすいかもしれない。「チキン・・・」の中で聞こえてくる独特なオープンチューニングのギター。ギャビィ・パヒヌイ。松本さんはこうして「アロハ」のミュージシャンとなった。

 松本さんの仕事も紹介しておこう。まずはアドバイス作品

●「ISLAND STYLE VOL1.2.3」(POLYSTAR)、これはコンピュレーションアルバムだが、その内の1枚「CHRISTMAS ALBUM」がHAWAIIのグラミー賞ナホク・ハノハノ・アワードにノミネートされハワイでコンピュレーションブームの先駆けとなる。次にプロデュース作品

●「ウクレレ クレイジー」(KING)、国内ウクレレアーチストのコンピュレーション(左下写真、実はウクレレアーティストでもないのに私の曲が1曲入っている。)。

●リリースされたばかりなのがアグネス・キムラさんの「Chotto Matte Kudasai」(右下写真)。

 ギタリストとしてはご自分で上記アルバムなどに参加しているほかイメージ オブ ハワイ(=>2003年6月メジャーデビュー)というギタートリオで活躍中である。この秋冬も各地で演奏する予定があるようだ。演奏場所もジョン・レノン ミュージアムだったり、胡弓の楊興新(ヤン・シンシン)さんと組む構想があったり、相変わらず幅が広い。近いところでは10月28日にベテラン スラックキーギタリスト山内雄喜さんと演奏するサンデーズ&サンセットライブ(恵比寿にんにく屋)。また、来年あたりアルバムリリースの予定もあるそうだ。

 最後に上の写真だが、「アロハ」しているように見えないかもしれない(これは事務所から送られてきたもの)。でも、サングラスを取れば「ぼちぼち」「のんびり」「理屈ぬき」で音楽を「楽しんでいる」人に見えるはずである。嘘だと思ったらウクレレとスラックキーギターを習いに行ってみれば?→Toy's Music School
  (文:城川隆生)

Ukulele Clazy(キングレコード) KICS829
 
Chotto Matte Kudasai(Hoku Hoku Records) HOKU CD-1002↑


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