町田音楽ネットワーク
今月の音楽人

16 2002年11月号)

何も存在していない所に人の心を動かす「モノ」を創り出す。
その「モノ」には誰も触る事ができないし終わればその存在は消えてしまう。
そんな「モノ」をこの地域で創り出してきた人々を紹介していきたい。


―  インフィニティー代表 木庭 啓 さん ―


 「プレイヤー」や「ギターマガジン」といった音楽雑誌の愛読者なら「インフィティー」(infinity)の広告をご覧になった方も多いだろう。エフェクター製作、リペアーの業界では知る人ぞ知る腕利き集団「インフィニティー」、実はこの町田が拠点なのだ。今月の音楽人はそのインフィニティー代表 木庭 啓 (Koba Kay)さんを紹介する。

 木庭さんはもともと神奈川県津久井のご出身、小学生の頃にYMOを聞き出してから音楽の世界に目覚め、県立橋本高校時代にはハードロックバンドのギタリストとしてエレクトリック・ギターの魅力に取り付かれていたらしい。その後、町田の某楽器店で楽器やエフェクターの修理・製作を担当、その頃に自分が所有していたギブソン・レスポール(1970年もの)を全部ばらしてしまったらしい(ウン十万円はする筈だ!)。それでエレキギターの構造が全部わかってしまったと木庭さんは簡単に言う。つまり、基本的に独学で覚えた知識・技術をここまでに発展させた天才肌のエンジニアなのだ。もちろん新しい技術や材料についての情報収集も欠かしていない。それができるのは国内・国外でこなしてきた仕事の経験に裏打ちされたネットワークがあるからだ。

 木庭さんは独立してすぐにアメリカの某有名ギターメーカーの専属デザイナーとして日米を往復しながら仕事をしていたことがある。ピックアップメーカーとして有名な「セイモアダンカン」のセイモアダンカン本人からアドバイスを受けるチャンスがあったり、巨大楽器フェアとして有名なNAMMショーや各地で行われるカントリー・フェストにメーカー側の人間として参加し始めたのもこの頃だ。

 町田を拠点とするようになったのは3年前。業務内容はエレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、ギター・アンプ、エフェクターのリペアー(ギターもアンプも両方扱っているのは珍しいらしい)とinfinityブランドのハンドメイドエフェクター製作が中心。注文すればギター製作も可能だ。日本を代表するギタリスト渡辺香津美のギターメンテナンスやアンプ・エフェクター・機材各種のセットアップすべてをinfinityが請け負っているのは結構知られている話で、他にも有名ミュージシャンが多数贔屓(ひいき)にしている。

 今後の展開は?と聞いてみたら、アイデアがたくさんありすぎて全部を話しきれないと木庭さん。でも、Made in Machidaのエフェクターを全国に!世界に!という想いは強い(製品カタログこちら⇒インフィニティーHP)。カスタム・ギターをやりたいという言葉も返ってきた。それから、これからは個人のお客さんも大歓迎だそうだ。そこで、木庭さんからの伝言「このページを見て、来て下さったお客様にオリジナルグッズを差し上げます。」

 最後に、「真剣に音楽をやっている方にストレスのないサービスを提供したい。」、「若い皆さんにもっと楽器、特にギターを弾いてほしい。上達するには何年もかかるけれど、そこで得られるモノの見方や達成感はすばらしいものだ。」・・・・・と木庭さんは語ってくれた。(文:城川隆生)




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